卵子の成長、排卵、妊娠維持すべてに関わる甲状腺ホルモンの原料
私たちの身体は、いくつもの細胞によって構成されており、その数は35兆を超えるといわれています。これらの細胞たちは神経やホルモンから指令を受けることで、日々スムーズに活動をしています。
今回は、普段生活する上ではあまり話題に上がらないホルモンなのに、妊活中や妊娠中ではかなり重要な「甲状腺ホルモン」の原材料になるヨウ素という栄養素についてお話していきます。
甲状腺ホルモンの役割
甲状腺ホルモンは、主に身体の新陳代謝の調節を行うホルモンです。脈拍数や体温・自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ重要な役割があります。新陳代謝が盛んな子どもの成長や発育、大人では特に脳の働きを維持するために欠かせないホルモンです。
甲状腺ホルモンを合成する甲状腺は、首の真ん中、のど仏のすぐ下に気管に張り付くように位置しています。重さは約15?20g、大きさは4?5cmほどの小さな臓器です。
何らかの原因で甲状腺ホルモンの分泌が過剰または低下すると、身体のさまざまな部分で異常をきたします。甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症では、不妊症や流産率との関係が深くあるといわれるため、妊娠希望の女性は甲状腺機能を正常に調節しておくことが重要です。
ヨウ素と甲状腺ホルモンの関係
甲状腺ホルモンを作るためには原材料であるヨウ素が必要不可欠です。ヨウ素の摂取が足りなければ甲状腺ホルモンが作れませんし、摂取過剰になれば甲状腺ホルモンがあり余ってしまう可能性もあります。
ヨウ素は人間の身体に欠かせない必須ミネラルの一つで、主に昆布・ワカメ・海苔などに天然に含まれています。1日の摂取目安量はおよそ0.095?0.13mgといわれています。日本はヨウ素を多く摂取する食習慣があるため、不足することはほとんど考えられません。
ヨウ素の代謝とセレンの関係
ヨウ素の1日の最低必要量は100?150μgで、その中で120μgが甲状腺に取り込まれ、80μgがT4・T3の形で甲状腺より分泌されます。
甲状腺は人体で最もセレン含有量が多い臓器です。「セレン依存性のヨードチロニン脱ヨウ素酵素」が甲状腺ホルモンを活性型にしたり不活性型にすることができます。セレンは甲状腺ホルモン制御の役割があるため、正常な発生・発育および代謝に必須の元素です。
セレンを多く含む食品:ブラジルナッツ・キハダマグロ・調理したオヒョウ(大きいカレイ)・グラスフェッドビーフ
ヨウ素を多く含む食品
主に昆布や海藻類・魚介類に多く含まれています。全て調理前の含有量なので、出汁として茹でたり焼いたりすれば、ヨウ素が溶出され含有量は少なくなります。
卵はヨウ素を摂りすぎないようにと避ける方がいますが、生卵1個当たりに含まれるヨウ素は0.008mgほどです。むしろ卵には良質なたんぱく質やコレステロールが豊富に含まれていて、身体作りに最適な食材です。毎日5個の卵を食べていても、ヨウ素摂取量はおよそ0.04mgで問題ありません。
ヨウ素摂取の注意点
ゴイトロゲン食品の摂取は気を付けましょう。ゴイトロゲンとは甲状腺腫誘発物質といい、ヨウ素の吸収を阻害してしまいます。ゴイトロゲン食品とはアブラナ科の生野菜・ブロッコリー・キャベツ・ケールなどです。アブラナ科を食べるときは30分以上蒸らしてから食べましょう。また、水道水中のフッ素やグルテン・乳製品・砂糖もホルモンバランスを崩す要因となります。
甲状腺疾患について
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態。症状:脈拍が速い・動悸・手足の震え・多汗・暑がり・倦怠感・体重減少・情緒不安定・イライラ・不眠・抜け毛など。
甲状腺機能低下症(橋本病)
甲状腺ホルモンの分泌低下による状態。橋本病は女性の10人に1人と高い頻度でみられます。症状:寒がり・倦怠感・体重増加・低体温・月経異常・便秘・むくみ・皮膚の乾燥・脱毛・記憶力の低下など。
これらの甲状腺疾患は、甲状腺異常のある方では流産・早産がわずかに多い割合でみられることが分かっています。また妊娠初期の胎児は自力で甲状腺ホルモンを合成することができないため、母体から受け取っています。妊婦の甲状腺ホルモンの必要量は妊娠前よりも30%増加するとされています。
まとめ
ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料として妊活に非常に重要な栄養素です。摂りすぎも摂らなさすぎも問題になります。普段の食生活を振り返って、適切な摂取を心がけてください。
何かございましたらご相談ください。
銀のすず 不妊鍼灸マッサージ